「読む力」を鍛えるための8つの観点

読む技術:成熟した読書人を目指して」を読んで、「読む力」に関してハッとする学びが多かったのでまとめてみる。

こういう経験はないだろうか。同じ文章を読んでいるのに、「そういう見方もあるのか」と感心させられるもの。いまではTwitterなどのSNSで誰もが自分の意見を発信できる。ある記事を引用リツイートして、記事に対するコメントを投稿したりする。
同じ文章を読んでいても、人それぞれによって異なる感想を持つが、たまに鋭い視点を持つ人がいる。
いままでは、そのような人の思考を再現する方法がわからなかったが、この本を読むことでヒントを得られたと思ったので、「どこに目をつけて読むか」「目をつけた上で、どういう観点から読むか」を紹介してみたい。

どのように「読む力」を鍛えるのか

どこに目をつけて読むか

「読む」といってもどこに目をつけて読むのかが大切になってくる。本書では以下の3つの視点を意識しながら読書することで「読む力」を鍛えることができる。

  1. 「ことば」を読むか
    → 書き表された言語表現それ自体のこと
  2. 「情報」を読むか
    → 意味内容として伝達されるもの
  3. 「人」を読むか
    筆者の人となりや価値判断、表現意図のこと

文章はこの3つの視点にかかわる多くの要素が相互に作用しあって、結果としてなにかを伝えようとするものへと結実したものです。
一方、読むという行為は、その結実した文章の要素を、3つの視点を行き来しながら解きほぐすことによって、「なにが書かれているか」を明らかにすることです。

読むための5つのポイント

上で紹介した3つの視点に加えて、次の5つのポイントを日頃から意識することで、「読む力」が着実に身につく。

  1. 形式を読む
  2. 想を読む
  3. 典型を読む
  4. 筆者を読む
  5. 複数のテクストを読む

1. 形式を読む

「形式」とは表現された言語のかたちである。たとえば、「花」という漢字の代わりに「華」が、「真実」の代わりに「信実」という漢字がつかわれているとき、その違いを考えて読まなければならない。また、冒頭の段落に結論が書かれている文章もあれば、最後に結論を書く文章もある。このかたちの違いも、意図や効果を理解してみること。

文章を理解する客観的な手がかりは、この「形式」以外にはありません。しかも、だれにとっても、文章の形式は共通で、不変の情報源です。にもかかわらず、同じ手がかりが、読者の力量や経験によってそれぞれ違った働きかけをします。形式を読むとは、表現された言語のかたちにどれだけ適切に、また豊かに反応できるかということです。

2. 想を読む

「想」はイメージのこと。文章をどう書くかを考えることを「構想する」というが、このときに筆者が思い描いている内容のことである。想像力は働かせて「想」をとらえてみる。

3. 典型を読む

「典型」とは表現された内容が一般化されたもの、普遍的な価値や様式のことである。
ストーリーの典型として、ハッピーエンドで終わる作品もあれば、悲しい結末で終わる作品もある。これは人間の善悪が典型的なかたちで表現された文章といえる。
文章からこのような一般的な型や代表的な思想を抽出することが典型を読むことにあたる。

4. 筆者を読む

筆者の生い立ちを調べて、それを頭に入れた上で読んでみること。筆者について知っていながら読むのと、知らないうえで読むのとでは見え方が異なってくる。

5. 複数のテクストを読む

「複数のテクスト」とは、基本的には一つ以上の文章という意味。
特定の本を読んでいるつもりでも、その日の朝に読んだ記事や通勤中に目にした広告との関係が意味をもってくることもある。こうした日頃はあまり意識していない関係にも注意を向けて、意図的に複数の本を読むことも、大切な読む技術である。

おわりに

ここで紹介した8つの観点で、日頃から触れている文章を読みつづけていれば「読む力」に加えて、読んでみての考えにも深みがでると思った。
とくに「形式を読む」の部分は普段読書するときに全く意識したことがなかったので、筆者の文字の使い方や段落構成に敏感に反応できるよう意識していきたい。
今回は「読む力」に特化して紹介したが、それ以外にも読書に関して科学した内容がいくつか書いてあって面白いのでおすすめです。